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話題の終活に興味あり!上手な始め方や注意点をご紹介

終活

「終活」という言葉は、すっかり市民権を得ているといっても過言ではない昨今。とはいえ、興味はあっても、「何から始めたらいいのか分からない」「どう進めればいいのかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。終活とはそもそも何で、どう始めればいいのでしょう。注意点も含めてご紹介します。

終活では家族の絆を重視する人が多い

終活とは、自分の人生を振り返るとともに、自分にとって大切なものを再確認することだとされています。「大切なもの」は人それぞれ違うと思いますが、実際には以下のように、子供への気持ちを大切に考える方が主流です。

8~9月に行われたお墓・お墓参り・葬儀・宗派についての市場調査によれば、終活において主に重視されていることは以下であるという結果になりました。

  • 「自分の思いや考え」「財産」を子供へ託す
  • お墓などを準備することで、子供の実務的・金銭的な負担を軽減する

※弊社調べ

「夫婦」「子供のいない夫婦」「おひとりさま」など終活を行う層は広範囲にわたりますが、上記の結果を踏まえ、ここでは子供がいる夫婦(配偶者に先立たれた方も含む)を前提にお伝えしていきたいと思います。

終活の始め方や注意点

本来、始める時期に正解はなく、自分が気になったときが始めどきです。とはいえ、人生100年時代と長寿の時代だからこそ、早めに終活に取り掛かりたいものです。財産やお墓のことを早期に考えることで、その後の長い人生を気兼ねなく楽しむことができるでしょう。
なお、子供世代が親の臨終や没後を心配しているケースも多いですが、子供からは終活を勧めにくいものです。親の方から積極的に話をすると子供を安心させることができるでしょう。

終活を行ううえでの注意点

終活にはたくさんの分野があり、なかには向き合うことに時間がかかるテーマもあります。焦って行うことは避けましょう。まずは、自分の気になるところから取り掛かってみてください。各分野の特徴は後述しますが、順序ややり方に正解はありません。気持ちをまとめる時間をたっぷりとっていきましょう。

終活をどう進めていくか迷ったときは、エンディングノートを活用してみてください。文字を書くことで情報が整理され、気持ちも明確になるはずです。また、意思決定や委ねるべき事項を、子供に伝えることも忘れずに行います。そこに至った経緯も説明し、実行を託すといいでしょう。

主な終活は5分野

終活は主に5つの分野があります。各分野の特徴を簡単にご紹介します。

1. 生前整理

年を重ねれば、自然と物も増えてしまうものです。それらの本や家具、洋服などを整理するのが生前整理です。自分にとって不要なものは捨て、必要なものは残していきます。子供に遺したいのであれば、分かるようにしておきましょう。

生前整理で外せないのが、金銭面の整理です。

金銭面の生前整理で重要なこととして具体的には、以下のような項目です。

  • 生命保険の加入状況や受取人の情報の明瞭化
  • クレジットカードの整理
  • 預貯金・証券口座等の整理

生命保険に加入していたことを遺族が知らず、請求しないままになってしまう例は意外と多いものです。生命保険の加入状況や重要書類の場所をしっかり伝えておきましょう。また、クレジットカード類も数が多いと解約の手間が増えます。所有枚数が多い方は、2枚程度に抑えておきたいところです。預貯金・証券口座等も複数ある場合は整理しておくといいでしょう。

近年は、インターネットやスマートフォンの普及が目覚ましく、物理的な物だけでなくデジタル情報の整理・管理も重要です。さらに、目に見えるものではありませんが、家族の思い出や親族のつながりも後世に伝えていけるといいですね。

2. 介護

介護状態に陥ったときにどうしてほしいかや、臨終の医療について考えます。例えば次のような項目です。

  • 介護の場所 自宅・施設のどちらにしたいか
  • 延命処置 看取りをどうしてほしいか
  • 希望どおりの介護や医療を受けるために必要な費用

希望どおりの介護が可能かどうか、費用面も忘れずに考慮しましょう。自宅介護を希望するなら、介護に耐えられるようバリアフリー化などが必要です。また、施設に入居する場合は、場所や介護体制によって費用がさまざまです。「あまり具体的なことは考えられない」「考えたくない」という方もいるでしょう。しかし、不本意な介護を受けることになった場合、ご自身にとってはもちろん介護する側にとっても残念なことです。具体的な希望がない場合は「これだけはやめてほしい」と思うことをいくつか挙げることをおすすめします。

3. 相続

財産分与や相続税についての準備をしましょう。適切に子供へ財産を残すためはもちろん、老後の生活設計の一環としても重要です。自分のために使うお金と、遺すお金をバランスよく考えるとよいでしょう。まずは、預貯金や金融商品、不動産等の財産目録を作成してみましょう。
「遺す」財産がある場合は、どう遺すかを考えます。考えを「伝える・実行する」にはいくつかの方法があります。

相続の選択肢として大きく3つ挙げました。

  • 遺言書 自身の意思を文書にすること
  • 生前贈与 生前に財産を贈与すること
  • 信託 遺産の使い道や管理を任せること。「生前信託」と「遺言信託」がある

最も一般的なのものは遺言書の作成でしょう。遺言書は個人で作成できますが、様式が法律で決まっています。専門書を読む、もしくは弁護士や税理士などの助言を受けるとよいでしょう。相続税が課税される可能性が高い場合や、誰に何を相続させたいかの希望があるときは、専門家に相談することをおすすめします。

注意したいのは、相続の終活について「財産がある人が行うもの」と捉えがちな点です。相続するものは、金銭的価値が高いものに限りません。金銭的価値は低かったとしても、引き継いでほしいものがあれば、子供たちに伝えていきたいものです。財産の有無にかかわらず遺言書の作成を検討してみましょう。「(財産分与は)子供たちが話し合って決めてほしい」「自宅を売却しても構わない」「財産は少ないが、仲良く分けてほしい」など、気持ちを伝えるだけでも意義があるはずです。

4. 葬儀

生前葬を除く通常の葬儀は、子供などの残された家族が行うことになるでしょう。葬儀には特に親しい人だけを招く「家族葬」、通夜を省く「一日葬」、通夜葬儀を行わない「直葬」などがあります。
葬儀の方法については次のような準備をしておくのが望ましいとされています。

  • 希望する葬儀種類を明確にしておく
  • 葬儀費用の総額(葬儀費用の表示金額の2倍が総額と考えてよい)について希望を出しておく
  • 遺影を用意しておく
  • 呼びたい参列者が分かるようにしておく

残された家族に葬儀を任せる場合も、これらが決まっていれば、スムーズに準備ができるでしょう。

なお、特に親しい人のみを呼ぶ家族葬を「費用が抑えられる」と思っている方が多いですが、東京における家族葬の費用相場は200万円弱が多く、一般葬と比較して特に安いとは言えません。家族葬は香典収入がないため、最終的な収支は一般葬よりも悪くなる可能性が高いので注意してください。

最近は遺影の撮影会もあちこちで行われています。費用はさまざまですが、メイクや撮影料などを含めて1万円程度のものが人気のようです。

5. お墓・供養

お墓についても考えておきたいものです。近年は、墓地に墓石を建てる従来タイプのお墓以外に、新しいお墓が登場しています。

  • 納骨堂 建物内(自動式、ロッカー式や墓石式など)に遺骨を安置
  • 樹木葬 樹木や草花を墓標として遺骨を埋葬
  • 手元供養 専用の器を用意し、遺骨を自宅に置いて供養
  • 散骨 海洋、空、山などに遺骨をまくこと

すでに先祖代々のお墓がある方も多いはずです。とはいえ、「子供が遠くに住んでいる」「墓の管理に手間暇をかけたくない」と考える方も多いでしょう。お墓を引っ越しすることは可能であるため、今あるお墓に固執せず、自分と子供にとって最適な方法を考えていくとよいでしょう。

変化の激しいお墓事情

お墓や葬儀を取り巻く状況は、目まぐるしく変化しています。近年は、墓地管理の手間が不要で、費用が比較的安価な納骨堂が人気です。しかし、東京では近年新たに30棟も建てられており、供給過剰の感が否めません。利用する前に、安定して運営していけるだけの利用者がいるのかどうか、確認するべきです。一般的に、建てられてから3~5年経過していれば「経営の安定には20%以上の稼働率が必要」とされています。さらに、1骨の費用が30万円以下の納骨堂は、採算を取るのが難しいといわれています。
また、宗教施設である納骨堂は、本来固定資産税が非課税です。しかし、宗派不要の納骨堂が国税庁に指摘され、課税対象となった事例があります。想定外の課税により経営が厳しくなっている可能性もありますので、経営状況もあわせてチェックしましょう。

→お墓事情だけでなく、葬儀の様式も多様化しています、葬儀については「多様化する葬儀!種類ごとのメリット・デメリットを知っておこう」をご覧ください。

「終活」から「絆活(きずかつ)」へ

終活とひと言で言っても、その範囲は多岐にわたるため、一度に全部終わらせようとする必要はありません。自分、そして家族と向き合いながら進めていきたいですね。

なお、記事中でもご紹介した弊社の市場調査によると、「終活」という名称に対して「終わり」や「死」をイメージさせるとの否定的な意見が多くありました。終活の目的は子供に託すべきものを託すことであり、それによってご自身の人生をより有意義にするためのものです。「終わり」や「死」を連想させる「終活」では、実情とのずれがあるといっていいでしょう。
聞き取りの結果、「終活」に変わる名称として「絆活(きずかつ)」が人気を博しました。ネガティブな印象の「終活」よりも、温かみがあり、活動内容にも沿っているのでしょう。
今後は「絆活(きずかつ)」の名称が普及していくのではないでしょうか。