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子供に迷惑をかけたくない!生前整理のメリットと進め方とは?

終活

子供も独立し、定年を迎えて悠々自適な生活を楽しむ団塊世代。独立心旺盛なこの世代は、特に「自分の老後や金銭面、お墓問題は、子供に迷惑をかけたくない」と思う方も人一倍多いようです。そんな方々に最も注目されている「終活」の第一歩が「生前整理」です。とはいえ、生前整理と老前整理、遺品整理は何が違うのでしょう?また生前整理を行うメリットや具体的な方法、そして注意点は、どのようなものがあるのでしょうか?

生前整理と老前整理、遺品整理の違いとは?

生前整理とは、本人が「残された家族の負担を減らすため」に、自分自身の身辺を見直して整理することをいいます。これに対し、老前整理は本人が「老いた将来の自分の負担を減らすため」に行う身辺整理のことをいいます。よって、老前整理の目的のベクトルは家族のためではなく、自分のためであることが生前整理と異なります。遺品整理は、遺族が本人の遺品となった品を整理することをいいます。

生前整理のメリットとは?

それでは、生前整理を行うメリットにはどのようなものがあるのでしょう?

遺族の負担を軽くできる

本人の死後、遺族はお葬式やお墓、相続など、やらねばならぬことが数多く発生します。また、大切なものかそうでないかの判別や処分にも時間がかかるもの。生前から身の回りの整理をしておくことで、遺族の遺品整理の負担を軽くすることができます。

相続トラブルを防止できる

生前から不動産や有価証券など自分の財産を正確に把握し、その処分方法(誰にどの資産を分けるか、など)を決めておくことで、相続トラブルを防止することができます。

万一の事態に備えられる

急な病気や事故により誰かの助けが必要な場合、事前に整理されていれば必要なもの(健康保険証やお金、通帳など)を代理人が探し出し、すぐに手続きを代行してもらえます。

断捨離で部屋がすっきりする

高齢になればなるほど、物の移動や整理がおっくうになります。早い段階から断捨離することで、すっきりと快適な部屋で年を重ねることができます。また掃除もしやすくなり、物による転倒防止や災害防止にもなります。

人生を見つめ直せる

生前整理をすることは、自分の人生を見つめ直すことにつながります。これまでの人生を振り返り、残された人生をどう生きるかを真剣に考えることで、よりよい人生を送ることができるようになります。

生前整理の具体的な方法とは?

断捨離(不用品を処分する)

部屋が汚れないよう、ブルーシートを広げ、所有している持ち物を「いる・いらない・移動・迷い」の4分割にします。まずは2年以上着ていない衣類から始めてみましょう。分類する判断にかける時間は、10秒以上になると捨てられなくなりますので8秒以内で。整理は狭い場所から始め、徐々に整理する場所を広げていくと苦になりません。長期間使用していない来客布団は、ダニの温床になるため思い切って断捨離し、必要な場合はレンタルで対応するとよいでしょう。大切な思い出の品は、みかん箱程度のきれいな箱に収めておくと持ち運びが便利で、保管しやすくなります。
処分すると決めたモノは、以下の処分方法があります。

  • 普通ごみとして自分で処分
  • 中古品買い取りやフリーマーケット、オークションサイトで現金化する
  • 家具のような粗大ごみは自治体か不用品回収業者に依頼する
  • 欲しい人や団体にプレゼントする

デジタル終活

パソコンやスマホなどのデジタル端末や、インターネット上に残されたデータを生前整理することをデジタル終活といいます。
パソコンやスマホの端末にある、見られては困るデータは処分するか、パスワードをかけて保存しておくとよいでしょう。また、インターネット上のデータには、ネット証券や有料コンテンツ、サーバー代など、死後も継続して課金され続けてしまう恐れがあるものがあります。こうしたデータはリストアップし、IDやパスワードなどとともに一覧で分かるよう整理しておきましょう。

写真の整理

思い出の写真は、まず100枚程度選び、30枚くらいの片手サイズのアルバム3冊まで絞り込みましょう。どうしても残したい写真は、データ化して省スペース化を図ることをおすすめします。また、自分の遺影写真を選んでおくことも、残された家族の負担を軽くすることができます。

財産目録の作成

分割相続や相続税を支払う場合、事前に相続財産目録を作成しておくことで遺族の負担を大幅に減らすことができます。財産目録には現金や預貯金、不動産、有価証券、貴金属、骨董品などの資産とともに、住宅ローンのような借金や未払金などの負債も記載します。負債を記載することは気が引けるかもしれませんが、遺族が遺産相続後に負債の存在を知り、相続放棄もできず借金を背負うという悲劇を防ぐ意味もあるため、正直に記載するようにしましょう。

生前贈与分を洗い出す

遺産となる金額が多い場合、生前贈与分を洗い出すことで遺族の節税対策に寄与することができます。主な生前贈与の方法として、贈与額が1年間で1人当たり110万円以下の場合は相続税がかからない、という制度の利用があります。また、教育資金贈与の非課税制度を利用し、1500万円を非課税で一括贈与するといったような、さまざまな方法がありますので、ぜひご自身に合った節税方法を調べてみましょう。

エンディングノートの作成

ご自分の資産情報やその配分方法、医療・介護や延命治療の希望、ご自身の葬儀やお墓に関する要望、デジタルデータの処理方法など、ご家族に共有したい重要な情報を伝えるツールとして、エンディングノートを作成しておきましょう。形式は自由のため、上記以外にも好きなこと(家族へのメッセージなど)も記載できます。ただし、エンディングノートには法的拘束力はありません。財産分与などに関しては遺言書をあわせて作成しておくとよいでしょう。

遺言書の作成

死後の財産分割方法などを残す方法として、法的な拘束力のある遺言書の作成はとても大切です。遺言書には、本人が自署押印し保管しておく「自筆証書遺言」と、公証人役場で公証人が立ち会って作成する「公正証書遺言」が主に利用されています。公正証書遺言は、自筆証書遺言に比べて公証人や弁護士などの費用や手間がかかります。しかし、専門家のチェックによる法的有効性が担保される点や偽造リスクが軽減される点から、正式な遺言書を作成したい方は公正証書遺言を作成しておくとよいでしょう。

お葬式やお墓の準備

自らのお葬式やお墓に関する考え方を整理し、準備しておくことは、自分自身のためだけではなく、残された家族への負担を減らすことにもつながります。お葬式ひとつでも1.形式(家族葬、密葬、直葬、社葬など)をどうするか、2.自身の宗教や宗派(キリスト教、仏教、神道など)、3.戒名に関する希望、4.予算、など、事前に整理すべき点は数多くあります。また、お墓に関しても、従来のお墓だけではなく、低予算で手入れ不要な納骨堂や樹木葬、海や山に遺骨をまく散骨などがありますので、どの方法を選ぶかも重要です。なお、おひとりさまの場合、お墓や葬儀は、あらかじめ業者に依頼することも可能ですので、そうした業者を選定し、依頼するといった準備も大切です。

おひとりさま必見!「死後事務委任契約」

身寄りがない「おひとりさま」の場合、死後のさまざまな手続きや葬儀、お墓をどうするかなどは事前に公証人役場で「死後事務委任契約」を受任者と結んでおくことで解決できます。死後事務委任では、本人の死後について自由に取り決めることができますが、遺産など財産継承に関しては対応できません。そのため、「公正証書遺言+死後事務委任契約公正証書」を残し、さらに第三者の法律家へ依頼しておけば、自分の死後に遺族に迷惑をかける心配はなくなります。なお、死後すぐに発生する事柄(葬儀や火葬、病院の支払いなど)にはお金がかかるため、専門家や受任者にお金を預託しておく必要もあります。

生前整理の注意点とは?

焦らずに進める

生前整理は一度に整理しようとしがちですが、まとめて捨てた書類に重要書類が混ざっている場合や、必要だったものまで誤って捨ててしまう可能性があります。焦らず丁寧に、時間をかけて進めていきましょう。

悪徳業者に注意する

最近では服やバッグなどだけではなく、ブランドものの使いかけの化粧品や香水、壊れたバッグも買い取る便利な買い取り業者が多く存在します。しかし、なかには不適正な価格で買い取る悪徳業者も横行しているため注意が必要です。ただ、良心的な業者でも基本的に買い取り価格は非常に安く、着物などもとは300万円以上のものでも、5~7万円になってしまうこともあります。出張買い取りの場合は8日以内の場合、クーリングオフが可能ですが、買い取り業者に依頼する場合は、最初から3社ほど見積もりを取ってから依頼するとよいでしょう。

重要書類はまとめておく

通帳や印鑑、宝石などの貴重品、不動産や土地の権利書などの重要書類は、空き巣などの被害を防ぐためにあちこちに保管する方も多いようです。しかし、急な入院や事故などのときに貴重品がバラバラでは、家族や依頼された方も大変です。重要書類や貴重品はできるだけ1か所にまとめておくか、心配な場合は銀行の貸金庫を利用するといった対策を取っておきましょう。

まとめ

生前整理とは、単に自分の身辺整理をすることではなく、その過程で自分が歩んできた人生を見つめなおし、人生の終盤をより良く生きる方法を考えることにもつながります。まずは身の回りの断捨離を進めていくことから始めましょう。そして、最終的には自分の人生の締めくくりとして自身の葬儀や納骨堂などのお墓問題、遺産相続などを生前整理として決めておくことで、子供に迷惑をかけることを減らすことになるかもしれません。