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おひとりさまの終活に必要?身元保証契約とは?

終活

入院するときや有料老人ホームに入居しようとするときに求められるのが身元保証人です。家族の多様化が進み、おひとりさまの世帯が増えているなか、広がりを見せているのが家族の代わりに身元を保証してくれる「身元保証契約」です。
今回は、身元保証契約とはどのようなものか、どんな人に身元保証契約が必要なのか、後見人と身元保証人の違いなどを詳しく解説していきます。また、知っておきたい、身元保証契約を利用する際の注意点についてもご紹介しますので参考にしてください。

身元保証契約とは?

身元保証契約とは、介護付き老人ホームや高齢者介護施設などへの入居の際必要となる「保証人」や「身元引受人」の代行をすることをいいます。多くの老人ホームでは、高齢者の生活における安全性を確保するための危機管理が非常に重要となります。

入居者の緊急時の対応や金銭的な保証、治療方針の決定など、老人ホーム側では責任を負えないことや、ホームの運営に支障が出る事態に対し、老人ホーム側の危機管理のひとつとして、入居時には身元保証人を立てることを必須としているのです。

どんな人に身元保証契約が必要?

身元保証人は、多くの場合、家族や親族がその役割を担いますが、配偶者に先立たれた子供のいない夫婦やおひとりさまなど、家族の形態が多様化している現代社会において、身元保証人となる家族がいない人は少なくありません。身元保証契約は以下のような人に必要とされています。

  • おひとりさま
  • 配偶者が亡くなってひとりになった子供のいない夫婦
  • 親戚と疎遠になっている、または遠くの親戚に迷惑をかけられない人
  • 子供に迷惑をかけたくない人

身元保証人は、家族や親族しかなれないというわけではなく、条件さえ満たせば友人や知人など、血縁関係がない人でも引き受けることは可能です。しかし、契約を結ぶには収入を証明する書類の提出が必要になるといったことがあるので、身元保証人を依頼しにくい状況であることは確かです。そのうえ、身元保証人には以下のような重要な役割があるため、簡単にお願いできないという背景もあるようです。

身元保証人の役割とは

では次に、身元保証人の重要な役割について見ていきましょう。身元保証人の役割は大きく分けて3つあります。

  • 病気やけがなどの治療方針の決定や入院手続き
  • 費用の未払いや支払い滞納など経済的な問題が発生したときの保証
  • 死亡時の退去手続き

病気やけがなどの治療方針の決定や入院手続き

老人ホームに入居している高齢者は、急な病気や体調不良、またはけがなどで医師の治療を必要とすることがよくあり、症状によっては救急搬送されることもあります。この場合の治療方針の判断や、病院への手続きなどは入居者自身が行う必要がありますが、高齢者の場合は、適切な判断や手続きが困難なことが考えられます。

しかし、老人ホームの職員は入居者に代わって治療方針の決定や手続きを行うことはできないため、身元保証人が行います。

身元保証人は、入居者が病院へ搬送されると老人ホームから呼び出しがあるため、急いで病院へ駆けつける必要があります。また、緊急入院が夜間の場合は病院に専門医がいないことが多く、4~5時間ほど病院内で待機しなければならないこともあります。入院時となれば、病院内にあるコンビニや売店で寝間着や洗面道具などの入院小物の準備をしておくといったように、身元保証人の役割には体力や対応時間も必要となってきます。

費用の未払いや支払い滞納など経済的な問題が発生したときの保証

身元保証人は、老人ホームの費用を入居者本人が支払えなくなったとき、保証人として本人に代わって支払う責任があります。また、老人ホームの月額料金の引き落としができない場合も、入居者の別の銀行口座に預貯金があるときは、入居者に代わって引き落とし口座の変更といった手続きも行います。

死亡時の退去手続き

入居者が死亡したとき、身元保証人は身柄を引き取ります。また、退去の手続き、費用の精算を行い、私物を引き取って部屋を入居前の状態に戻します。

このように、身元保証人は保証人や身柄引き取りなどの大きな3つの役割があります。また、認知症を患っているといったように、入居者本人の判断能力が低下している場合は、老人ホームにおけるケアプランの見直しの決定も身元保証人が本人に代わって行います。老人ホームでは、入居者との間で解決できない問題も多々発生します。身元保証人は、老人ホームにとって、その入居者のすべての役割を担う責任者、相談窓口となっているのです。

身元保証人がいない場合はどうすればいいの?

前述のとおり、おひとりさまや子供に迷惑をかけたくないと思っている人のように、さまざまな理由で身元保証人を立てられない人もいらっしゃるでしょう。その解決策としては以下の2つの方法があります。

  • 後見人を立てて入居できる老人ホームを探す
  • 保証会社を利用する

後見人を立てて入居できる老人ホームを探す

法定後見制度では、成年後見人と任意後見人の2種類があります。成年後見人は本人の判断能力が低下したことによって、財産管理に不都合が出てきた場合に、家族や親族が裁判所に申し立て裁判所が認定します。一方の任意後見人は、本人の判断能力が衰える前に、本人自らが選んだ人と契約することをいいます。

老人ホームでは身元保証人がいなくても、法定後見制度によるいずれかの後見人を立てれば入居可能としている場合があります。(成年後見制度は色々と問題がありますので、詳しく掲載しています別ブログを参照下さい。)

後見人と身元保証人の違いって何?

老人ホームの月々の支払いが滞ることなく、連絡の窓口役を担ってもらえれば、後見人でも身元保証人でも老人ホームにとってはどちらでもよいわけです。ただ、後見人と身元保証人では役割が異なるため、厳密にはできる仕事に違いがあります。

また、後見人は身元保証人にはなれません。なぜなら、後見人はあくまでも代理人であって、保証人や身元引受人でないからです。そのため後見人は、家族や親族の了承を得なければ治療方針の決定ができません。また、死亡後の私物の引き取りや、葬儀、納骨、供養に関する役目を負うこともできないのです。

老人ホームが保証人ではない後見人でも良しとしているのは、後見人は本人の財産を管理することが職務であり、本人の資産が万一なくなったとしても、生活保護の手続きを行って老人ホームの支払いが滞らないようにできるからです。そのため、老人ホームによっては後見人がいれば入居できるケースがあります。

保証会社を利用する

保証会社とは、ご紹介してきたような身元保証人の役割を担ってくれる企業のことをいいます。保証会社は、家族の多様化や身元保証人のニーズとともに近年増えてきています。提供されるサービスは保証会社によって異なりますが、主なものは以下のとおりとなっています。

  • 身元保証サービス…老人ホームの入居時の身元保証や連帯保証、入院時の連帯保証など
  • 生活サポート…生活費口座の管理、通院、入院の同行、年金などの行政の手続き、ケアプランの同意など
  • 死後事務支援…葬儀、納骨、供養に関する手配、代行、遺族への連絡、家財処分など

保証会社を利用するには料金がかかります。契約の形態やどのサービスを利用するのかによって異なりますが、おおよそ数十万円~200万円前後が必要になることがあります。

身元保証契約を利用する際の注意点

身元保証契約は、運営団体によってサービスの内容や契約の内容にばらつきがあります。そのため、自分にはどのサービスが必要なのか分かりにくくなっています。また、保証会社が破綻をしてしまうと身元保証サービスを受けられなくなるどころか、預けたお金が返ってくる可能性も低いでしょう。

身元保証契約を利用する際に、トラブルを避けるためにどのようなことに注意する必要があるのでしょうか。気をつけたいポイントについてまとめました。

  • どこまでのサービスを受けるのか、また、自分がしてほしいのかを選ぶ
  • 最終的な費用を明確にする
  • 運営団体ができないことを明確にする
  • 契約内容を変更したり解約したりする場合の手続きについて説明してもらう
  • 解約の際にはどの程度、いつ返金があるのかを確認しておく
  • 不安があればひとりで悩まず、消費者センターや地域包括センターに相談する

これらのほかにも、延命治療や葬儀・納骨のことなどは最低でもエンディングノートを活用し、明確にしておく方が安心です。

なるべく元気なうちに気になる身元保証団体をいくつか見つけておき、信頼できる人と一緒に担当者と会って直接契約内容を聞いて比較するというように、トラブルを避けるためには保証会社選びは慎重にならざるを得ません。

まとめ

今回は、身元保証契約についてどのようなものか、どんな人に身元保証契約が必要なのかお伝えしてきました。身元保証契約は、おひとりさまで身近に頼れる人がいない、家族や親戚に迷惑をかけたくないという人にとっては便利です。しかしお伝えしてきたようなトラブルが発生していることも事実。保証会社と身元保証契約を結ぶ際は、本当に信頼できる事業者かどうか、契約の内容をしっかりと把握し、契約をすることが大切だと言えるでしょう。

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