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【必見!】樹木葬の実態は?特徴やメリット・デメリット、利用者の声を紹介

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【必見!】樹木葬の実態は?特徴やメリット・デメリット、利用者の声を紹介

樹木葬は、故人の遺骨を樹木の下に埋葬するという環境に優しい方法で、近年その人気が高まっています。この埋葬法は、従来の墓石を使用する方法と比較してコストが低く、自然に寄り添った形で故人を偲ぶことができるため、多くの人々から注目されています。

しかし、樹木葬にはメリットだけでなくデメリットも存在します。この埋葬方法の最大の利点は、環境への影響が少ないことです。遺骨を自然に還すことで、生態系への負荷を減らし、自然環境の一部として生命を育んでいきます。また、費用面でも、墓石や納骨堂にかかる費用を削減できるため、経済的な負担が少なくなります。

一方で、樹木葬のデメリットとしては、埋葬できる場所が限られている点が挙げられます。樹木を植えられる環境が必要なため、都市部などの地域では選択肢が限定されがちです。さらに、一度埋葬した遺骨は取り出すことが困難であるため、改葬や分骨を考えている場合には不向きな場合があります。

樹木葬を検討する際には、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自分や家族にとって最適な選択かどうかを慎重に考えることが重要です。適切な場所選びと環境への配慮を考え、樹木葬が故人の意志や家族の希望に合致しているかを確認することが、満足のいく埋葬を実現する鍵となります。

今回の記事では、樹木葬の実態について深く理解するため、樹木葬の特徴やメリット・デメリット、利用者の声について紹介していきましょう。

樹木葬とは?法律で認められている?

まずは樹木葬とはどのようなものかを紹介していきましょう。

そもそも樹木葬とは

樹木葬は、自然への回帰と環境保護を重視する埋葬方法として注目を集めています。この方法では、墓石の代わりに樹木を用い、故人の遺骨を樹木の周囲の土に埋葬します。樹木は故人を偲ぶ象徴となり、自然の一部として環境に優しく還っていく様を見守ることができます。

1999年に岩手県のお寺で初めて登場した樹木葬は、当初は非常に珍しい存在でした。しかし、自然葬への関心が高まる中、継承者不足などの社会問題も手伝って、全国各地の霊園で取り入れられるようになりました。実際、「第15回お墓の消費者全国実態調査」によると、購入されたお墓の種類の中で樹木葬が48.7%を占め、約半数の人々が樹木葬を選択していることが明らかになりました。

樹木葬のメリットとしては、まず費用の面で従来の墓石に比べて経済的であることが挙げられます。また、自然環境への負担が少なく、持続可能な埋葬方法としての利点もあります。故人の意志に沿って、自然の一部として永遠に存在することができるため、個人の価値観に基づいた供養が可能です。さらに、バリアフリーが実現しやすく、すべての人が平等にアクセスしやすい点も、高齢者や障害を持つ人々にとって大きなメリットとなっています。

樹木葬は法律で認められている?

近年、注目を集めている「樹木葬」。墓石の代わりに樹木を墓標とするこの埋葬方法は法律で認められているのでしょうか。

結論からいうと、樹木葬は法律で認められています。「墓地、埋葬等に関する法律」では、「埋葬」とは遺体を土中に埋めることと定義されています。樹木葬は遺骨を土中に埋めるという点において、この定義に合致するため、合法的な埋葬方法と認められます。

例

墓地、埋葬等に関する法律 第2条

この法律で「埋葬」とは、死体を土中に葬ることをいう

埋葬する場所は、他人の土地に許可なく行うことはできません。 樹木葬を行う場合は寺院や霊園など、樹木葬専用の区画を設けている場所を選ぶ必要があります。埋葬後は埋葬場所をきちんと管理しなければなりません。樹木葬の場合、墓石を設置しないため、埋葬場所がわからなくなるという問題があります。そのため、埋葬場所をきちんと管理し、目印を設ける必要があります。

例

墓地、埋葬等に関する法律 第4条

埋葬または焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない

また、樹木葬を行う際には、以下の2つの手続きが義務付けられています。

  • 遺骨を埋葬する場所を都道府県知事に届け出る
  • 火葬を行う際には、火葬許可証を取得する
例

墓地、埋葬等に関する法律 第5条

埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は厚生労働省令により市区町村長の許可を受けなければならない

例

墓地、埋葬等に関する法律 第8条

市区町村長が埋葬、改葬又は火葬の許可を与える場合は埋葬許可証、改葬許可証または火葬許可証を交付しなければならない

これらの手続きは、都道府県によって異なる場合があるため、事前にお住まいの自治体で確認しておくことが大切です。

参考:昭和二十三年法律第四十八号 墓地、埋葬等に関する法律

樹木葬の特徴を詳しく解説

続いて、樹木葬の特徴を紹介していきましょう。

自然回帰

樹木葬は、故人の遺骨を自然に還すことによって環境に負荷を与えず、故人を弔う方法として近年注目されています。この埋葬法は、自然との調和を重んじるエコな方法として、環境問題への関心が高まる中で選ばれることが増えています。

従来の墓石を使用する埋葬方法では、石材やコンクリートなどの人工素材が多く使われますが、これらは一度地中に埋められても分解されにくく、環境への負担が大きいとされています。これに対して樹木葬は、自然素材のみを用い、遺骨を直接土に還すことで生態系への影響を最小限に抑えることが可能です。

樹木葬は故人を自然の一部として尊重し、遺族にとっても新たな始まりを感じさせる方法となり得るのです。

お墓の後継者が不要である

近年、少子高齢化や核家族化が進展しており、墓石の継承が難しくなっています。子供がいない、子供が遠方に住んでいる、孫の代まで負担をかけたくないといった理由で、墓石の継承を悩む人が増えました。その点、樹木葬は墓石を建てないため将来的に子孫の負担が軽減できるでしょう。

従来の墓石による埋葬では、墓石の管理や継承が必要となりますが、樹木葬であればその必要がありません。遺族は、故人を自然に還すという理念に沿って、供養することができます。

第15回 お墓の消費者全国実態調査」によると、全体の64.1%の方が「後継不要の墓を購入した」と回答しており、お墓の後継者問題について「そもそも後継者不要のお墓を用意する」ことで根本的に解決する人が増えているといえるでしょう。

費用が安価である

樹木葬は墓石の購入や設置費用がかからないため、従来の墓石による埋葬に比べて費用が安価です。したがって経済的な負担を抑えたいという方にとって魅力的な選択肢となっています。

従来の墓石による埋葬では、墓石の購入や設置費用が大きな負担となります。墓石の種類や大きさ、霊園の立地や施設によって費用は異なりますが、「第15回 お墓の消費者全国実態調査」によると、お墓の平均購入価格は一般のお墓が149.5万円、納骨堂が80.3万円なのに比べ、樹木葬は63.7万円と一般のお墓の半額以下で購入可能です。

一般のお墓に比べると、墓石の購入や設置費用がかからないため、その分だけ経済的な負担を抑えることができます。

バリアフリーやペットと一緒に入れるお墓などのバリエーションがある

近年、高齢化社会が進展し、障がい者の数も増加しています。従来の墓石による埋葬では、段差や階段が多く、車いすや杖を使って参拝するのが困難な場合がありました。この点、樹木葬はバリアフリー性に優れているというメリットがあります。

近年はバリアフリー設計が徹底されている霊園や寺院が増えています。車いす用のトイレや通路、手すりなどが設置されており、車いすや杖を使って参拝することができます。また、音声ガイドや点字表示などのサービスを提供している霊園や寺院もあります。視覚障がい者でも、安心して故人を弔うことができるでしょう。

また、近年はペットを飼う方が増えており、「ペットと一緒のお墓に入りたい」というニーズが生まれてきました。これは単なる流行ではなく、現代社会における人とペットの関係性の変化を反映したものです。

かつてはペットは単なる家畜や遊び相手と見なされることが多かったですが、近年では家族の一員として認識されるようになっています。ペットは飼い主の生活に大きな喜びを与え、深い愛情を注がれます。また、ペットの寿命は人間よりも短く、多くの場合、飼い主はペットとの死別を経験します。ペットを失った飼い主は深い悲しみと喪失感に襲われ、ペットとの思い出をいつまでも大切にしたいと考えるようになります。

こうしたニーズに対して、従来のお墓以外にも、ペット火葬や合同供養など様々な供養方法が生まれて来ました。ペットと一緒のお墓に入ることも、こうした供養方法の一つとして選択肢の一つに加わってきたのです。

樹木葬のそれぞれの種類について

近年、利用者が増えている樹木葬はいくつかの種類に分類することが可能です。それぞれの種類について解説していきましょう。

寺院・霊園等での庭園型樹木葬

庭園型樹木葬は、寺院や霊園内に庭園を設けてその中に樹木を植えて埋葬する方法です。美しい庭園の中で眠るという自然の美しさと調和した供養ができます。近年、人気が高まっている樹木葬の種類の一つです。

庭園型樹木葬の特徴は、景観重視の霊園が多いことです。庭園は専門のデザイナーによって設計されており、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。どの種類の樹木に埋葬するかも選択できる場合が多く、様々な種類の樹木から選ぶことが可能で、故人の好きな花や木を選ぶこともできます。また、車いすや杖を使って参拝できるように、バリアフリー設計が徹底されているのも特徴です。

また、庭園型樹木葬は人工物が少なく、自然の美しさを感じながら眠ることができます。後述する里山型に比べると都市部に立地している霊園が多いため、アクセスも良好です。

その一方で、後述する里山型や合葬型に比べて費用が高いこと、他の区画と隣接している場合があるため、プライバシーが確保できない場合があります。

里山型樹木葬

里山型樹木葬は、郊外の自然に囲まれた里山にある霊園に区画を設け、そこに遺骨を埋葬する方法です。里山型樹木葬は、特に自然との調和を深く意識した埋葬方法といえるでしょう。樹木葬は遺骨を自然に還元できる素材で作られた骨袋や骨壺に納め、それを土中に埋葬します。

里山型樹木葬では、植樹型やシンボルツリー型といった異なるスタイルがあります。植樹型は故人の遺骨を植物の根元に埋める方法で、シンボルツリー型は特定の象徴的な木の下に遺骨を埋葬する方式です。

ただし、里山型樹木葬を選ぶ際にはいくつかの点を検討する必要があります。霊園によっては一定期間後に遺骨を取り出して合祀墓に移すこともあるため、完全に土に還りたいと考える場合は、この点について事前に確認することが重要です。

里山型樹木葬のもう一つの特徴は、その静寂とプライベートな環境です。都市部の霊園に設置された樹木葬とは異なり、より自然に近い環境で静かに眠ることができます。これにより、訪れる人々には穏やかで落ち着いた時間を提供し、故人との思い出を静かに振り返る場を提供します。

里山型樹木葬を選ぶにあたっては、アクセスの利便性が重要なポイントとなります。基本的に都市にある霊園と比べるとアクセスが悪いので、埋葬後に誰かが維持管理をしてくれるのであれば、その方の意見も参考にしながら決めていきましょう。

合葬・合祀型樹木葬

合葬・合祀型樹木葬は、樹木葬の中で最も価格帯が安い埋葬方法です。費用が他の樹木葬形式に比べても格段に安価であり、都市部に位置することが多いためアクセスも良好です。また、バリアフリー設計が施されている場所が多く、高齢者や障がい者でも参拝が容易です。

合祀は、「ごうし」と呼ばれ、血縁関係を超えて他の人々と共に供養されます。このような共有墓地は、個々の供養塔や総本山の納骨場など、様々な形態で存在します。合祀墓に埋葬されると、多数の遺骨が一箇所に集められ、合同で供養されるため、個別に供養するよりも経済的な負担が少なくて済みます。

特に合葬・合祀型樹木葬のシンボルツリー型の場合、大きな木の下に多くの人々の遺骨が一緒に安置されます。この点で、合祀墓と似ているものの、樹木葬では自然そのものが墓標となるため、環境への影響が少ないです。

しかし、合葬・合祀型樹木葬にはデメリットも存在します。個別の区画が設けられていないため、プライバシーが確保されにくく、合同墓地によっては希望の樹木を選べない場合があります。また、合同墓地のルールに従った供養を行うため、供養の自由度が制限されることもあります。

最後に、合祀墓と永代供養墓は、どちらも遺骨の埋葬や管理に関するサービスですが、意味は異なります。

合祀墓とは、複数の遺骨を同じ場所で一緒に埋葬する埋葬方法、またはそのお墓のことを指します。永代供養墓とは、寺院や霊園が遺族の代わりに永代にわたって遺骨の供養や管理を行うサービス、またはそのサービスがついたお墓のことを指します。永代供養墓には、合祀墓と個別に遺骨を管理するケースがあり、永代供養墓イコール合祀墓ではない点に注意が必要です。

合祀墓は、一度遺骨を埋葬すると二度と個別に取り出すことができないため、将来的に別のお墓に移したくなっても不可能です。また、すべての関係者が納得していなければトラブルに発展する恐れがあるため、親族間で事前によく話し合っておく必要がありますので、その点には注意しておきましょう。

樹木葬のメリットとデメリット

樹木葬は、従来の墓石による埋葬とは異なり、遺骨を粉骨にして樹木の下に埋葬する方法です。近年、自然葬の一つとして注目されており、費用の安価さや環境への配慮などから人気が高まっています。

メリット

樹木葬のメリット

樹木葬は、従来の墓石による埋葬とは異なり、遺骨を自然の一部として樹木の下に埋葬する方法です。この埋葬方法は、近年自然葬としての人気が高まっており、その費用の安価さや環境への配慮から多くの人々に選ばれています。

樹木葬の最大の魅力は、そのコストパフォーマンスの高さです。先述したように「第15回 お墓の消費者全国実態調査」によると、一般墓の購入に平均して149.5万円の費用がかかるのに対し、樹木葬では平均で63.7万円で済むため、大幅なコスト削減が可能です。これは墓石や納骨堂などの人工的な施設に依存しないためで、経済的にも環境的にも負担が軽減されます。

また、樹木葬は環境に優しい埋葬方法としても知られています。化学物質を含まない自然素材で遺骨を覆い、土に還すことで自然環境への影響を最小限に抑えることができます。地球温暖化や環境破壊が進む中で、このような埋葬方法は、環境への配慮を重視する人にとって魅力的な選択です。

さらに、樹木葬は自然の中で穏やかに眠ることができるため、都市の喧騒を離れた静かな環境で故人を偲ぶことができます。緑豊かな山林や公園に樹木葬地が設けられることが多く、自然の美しさの中で故人を感じられるのは、多くの人にとって大きな慰めとなります。樹木葬はバリアフリーに配慮された場所が多く、車いすや杖を使用する人も安心してアクセスできます。これは高齢化社会を迎える中で、特に高齢者や障がいを持つ人々にとって重要な利点です。

樹木葬では、故人の意志に沿って自由度の高い供養が行えることも特徴です。宗教的な制約が少なく、故人が生前愛した花や樹木を選んで埋葬するなど、本人が望む形式を取ることができます。また定期的な法要を行わずとも、家族や友人が自由なタイミングで故人を偲ぶことが可能です。

さらに、樹木葬は継承者の負担を軽減します。従来の墓石のように長期にわたる維持管理や継承の心配がなく、永代供養として扱われることが多いため、家族は安心して故人を送り出すことができます。

デメリット

樹木葬のデメリット

樹木葬にはいくつかのデメリットも存在します。まず、適した場所を見つけることが難しい場合があります。都市部ではスペースの制限やアクセスの問題から、希望に合った樹木葬場を見つけるのが容易ではありません。また、山間部に位置する樹木葬場所は自然に恵まれている反面、アクセスが不便なことも多く、公共交通機関だけでなく、車での訪問が必要な場合がほとんどです。特に高齢者や障がいを持つ人にとっては、アクセスの悪さが大きな負担になることがあります。

さらに、樹木葬は個人での管理が求められることがあります。霊園や寺院によっては一定の管理を提供していますが、樹木の手入れや周囲の環境整備が必要になるため、忙しい日常を送る人や遠隔地に住む人にとっては管理が困難になることもあります。樹木の適切な手入れを怠ると、枯れるリスクもあり、これによって故人を供養する場としての環境が損なわれる可能性があります。

また、樹木葬は宗教的な供養を行うことが難しい場合があります。寺院での法要や読経を希望する人にとっては、樹木葬の場が宗教的な儀式に対応していないことが多く、その点で物足りなさを感じることがあります。さらに、樹木葬の形態によっては、一度埋葬した遺骨を取り出すことが難しいため、改葬や分骨を希望する場合には不向きです。これは遺族が後に遺骨を移動させたいと考えた場合、制約が多いことを意味します。

樹木葬を選ぶ際には、これらのメリットとデメリットをしっかりと理解し、自身の価値観や状況、故人の意向に合わせて慎重に選択することが重要です。自然に還りたいという願望を持つ人、環境保護を重視する人にとっては、樹木葬は理想的な選択肢となるでしょう。しかし、宗教的な儀式を重視する人や、アクセスの利便性、管理の容易さを求める人にとっては、他の埋葬方法を検討する必要があるかもしれません。

最終的に、樹木葬は故人の記憶を自然と共に永続させ、環境に優しい方法としての価値を持ちますが、それを選択するかどうかは、個々の状況と遺族のニーズによって決まります。選択を行う際は、すべての側面を考慮し、故人が望む最も適切な方法を見つけることが大切です。

樹木葬の実態:失敗したと感じた人の声

樹木葬は、自然と一体になることを望む人々にとって魅力的な選択肢となっていますが、実際にこの方法で埋葬を行った人の中には、後悔している声も少なくありません。その理由や後悔しないための対策を詳しく見ていきましょう。

場所の後悔

樹木葬で後悔する主な原因は、「場所の選択ミス」が挙げられます。例えば、アクセスが悪く定期的な参拝が困難であること、希望していた樹種が植樹されていないこと、周辺環境の変化によってイメージと異なる景観になってしまうことなどがあります。これらの問題は、選択する際の注意深い検討が不足していることに起因することが多いです。

アクセスの問題では、自宅から遠すぎる場所や公共交通機関の便が悪い場所を選んでしまうと、家族が定期的に訪れることが難しくなります。また、希望の樹種がない場合、故人が生前愛した自然の雰囲気とは異なる場所での埋葬となり、家族の期待とのギャップに苦しむことになりかねません。周辺環境が開発などにより変化すると、購入時の静かな環境が保たれず、期待していた安らぎを得られない場合もあります。

これらの問題を避けるためには、以下の対策が有効です。まず、樹木葬を選ぶ前には必ず現地を訪れ、アクセスの便、植樹されている樹種、周辺環境の状況を自分の目で確認することが重要です。また、開発計画がないかどうかを地域の自治体や施設運営者に確認し、将来的な環境変化に備えるべきです。さらに、宗教的な行事や供養が重要な場合は、そのための施設が整っている場所を選ぶことも大切です。

遺骨の取り出しや改葬ができない

「遺骨の取り出しや改葬ができない」という点についても意見があります。一度埋葬した遺骨を後に取り出したい場合、樹木葬ではその方法が特に複雑であることが多いです。そもそも遺骨を粉状にして土に還す方法の場合、遺骨を再び取り出すことはできません。このため、契約前には埋葬地の規約を詳しく確認し、必要に応じて施設運営者としっかりと話し合うことが求められます。

また、費用の面でも注意が必要です。樹木葬の初期費用は比較的安価かもしれませんが、長期的に見ると管理費や樹木の手入れ費用、定期的な供養費用などが発生します。これらの総コストを事前に把握し、家計に無理がない範囲で計画を立てることが重要です。

最後に、家族との十分な話し合いを行うことも忘れてはなりません。全員が納得のいく選択をすることが、後悔しないための最も確実な方法です。実際に樹木葬を選択する際は、これらの点に注意して、故人にとっても遺族にとっても負担のない埋葬方法を選ぶように心がけましょう。

樹木葬の実態:向いてない人がいる

樹木葬は自然に身を委ねる埋葬方法として、近年注目を集めていますが、この方法がすべての人に適しているわけではありません。樹木葬に向いてない人がどのような人かを紹介していきましょう。

樹木葬に向いていない人

将来的に遺骨を取り出したい人

樹木葬が向いていない人の一例として、遺骨を取り出す必要がある人がいます。樹木葬では遺骨を粉骨し、樹木の根元に埋葬しますが、これは一度行うと遺骨の取り出しが困難になるため、将来的に改葬や分骨を考えている人には不向きです。遺骨の取り扱いについての制約は多く、一度埋葬するとその地に永く留まることを前提としています。

宗教的な供養を重視する人

宗教的な供養を重視する人も樹木葬が合わない可能性があります。多くの樹木葬施設では宗教的な儀式の実施が限られており、個人の自由に任せられるケースがほとんどです。宗教的な行事や供養を大切にする場合、その施設が宗教的なニーズに応えることができるかを事前に確認する必要があります。選択肢が限られる可能性があるため、慎重な検討が求められます。

遺族の意見がまとまらない人

樹木葬を選ぶことは家族にとって重要な決断であり、遺族間で意見が一致しないこともあります。この場合、無理に樹木葬を選ぶべきではなく、家族全員が納得する方法を時間をかけて慎重に選ぶべきです。話し合いを重ね、全員が心から納得できる選択をすることが、後悔しないためには非常に重要です。

樹木葬は個人での管理が求められることが多く、これには定期的な樹木の手入れや環境の整備が含まれます。忙しい日常を送る遺族や遠隔地に住む遺族にとっては、これが大きな負担となることがあります。管理が必要な場合、霊園や寺院が提供する管理サービスを利用できますが、これには追加の費用が伴います。

このように、樹木葬はその自然との一体感や環境への優しさで魅力的ですが、それがすべての人に合うわけではありません。自身のニーズや家族の意向、将来的な供養の希望を総合的に考慮し、もっとも適した埋葬方法を選ぶことが大切です。樹木葬を選ぶ際にはこれらの点を踏まえた上で、じっくりと情報を収集し、検討を重ねることをお勧めします。

樹木葬の実態:向いている人はこんな人

樹木葬が向いている人はどのような人でしょうか。ここで樹木葬に向いている人を紹介していきましょう。

樹木葬に向いている人

自然が好きで自然に還りたい人

まず、自然を愛する人や、自然の一部として永遠の眠りにつきたいと考えている人にとって、樹木葬は理想的な選択です。樹木葬は遺骨を樹木の下に埋葬し、故人を自然に還す方法であり、自然豊かな環境で静かに眠ることができます。多くの樹木葬施設は、山や海など自然に囲まれた場所に設けられており、そうした環境で眠ることを望む人には最適な環境と言えるでしょう。

独身の人やお墓の後継者がいない人

独身者やお墓の後継者がいない人にも樹木葬は適しています。現代社会では、核家族化や少子高齢化により、お墓の維持や継承が難しいという問題が増えています。樹木葬では遺骨を粉骨にし、樹木の下に埋葬するため、場所を取らず、維持管理や継承の心配が不要です。このため、一人で生活している人や、将来的にお墓を維持できる人がいないと考えている人にとって、心の負担を減らす選択肢となり得ます。

宗教的な制約が少ない人

宗教的な制約が少ないことも、樹木葬の大きな特徴です。故人の意志に沿って、希望の花や樹木を選ぶことができ、定期的な法要ではなく、自由なタイミングで故人を偲ぶことが可能です。これにより、個人の価値観に基づいた、より本人の意向に沿った形で供養が行えます。

ペットと一緒に埋葬したい人

ペットと一緒に埋葬できる樹木葬も増えています。ペットと共に生活した人にとって、死後も一緒にいられることは大きな慰めです。ペットと共に眠れる樹木葬は、ペットを家族の一員と考える人にとって、選ぶべき理想的な方法の一つです。ただし、このタイプの樹木葬を提供している施設は限られており、事前に確認が必要です。

樹木葬を選ぶ際は、これらの特性を理解し、自身のライフスタイル、価値観、将来の計画に合致するかどうかを考えることが重要です。自然を愛し、後継者の負担を減らしたい、宗教的な制約を受けたくない、そしてペットと共に永遠の安らぎを求める人にとって、樹木葬は非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

樹木葬を選ぶ際の注意点とは

樹木葬は自然に還るというコンセプトで、多くの人に支持されていますが、実際に検討する際には様々な点に注意が必要です。

場所選びは慎重に

樹木葬を選ぶ際、場所選びは非常に重要です。樹木葬は、特定の条件を満たす場所でのみ可能となるため、いくつかの重要な点を考慮する必要があります。まず、アクセスの良さを考え、自宅から近く、公共交通機関で容易に行ける場所を選ぶことが望ましいです。また、周辺環境が安定しており、将来的にも変わりにくい場所を選ぶことが重要です。

さらに、土地の日当たりや土壌の質も検討する必要があります。これらは樹木が健康に育つための必須条件であり、樹木葬の成功に直結します。最後に、費用も大きな考慮点です。予算に合致するかどうかをしっかりと確認し、経済的な負担が適切であるかを判断することが求められます。

埋設許可を持っているか確認する

樹木葬施設を選ぶ際には、施設が適切な埋葬許可を持って運営されているかを確認することが極めて重要です。埋葬許可は都道府県知事が行いますが、その基準は厳しいため、新規参入業者の場合には無許可で違法運営している業者が存在しないとも限りません。許可を受けずに運営されている施設を利用した場合、将来的に様々な問題が生じるリスクがあるため、この点はしっかりと確認しておきましょう。

施設が正規の許可を受けているかどうかを確認する方法として、まず施設の公式ウェブサイトを調べることが有効です。多くの場合、許可証の番号や発行元が記載されています。さらに、直接施設に問い合わせて詳細を尋ねることも推奨されます。また、他の利用者のレビューや口コミも参考になります。これらの情報を通じて、施設の信頼性やサービスの質を把握することができます。

これらの確認を行うことで、樹木葬のための安全で信頼性の高い施設を選ぶことが可能となり、故人を安心して託すことができるでしょう。

契約内容をよく確認する

樹木葬を選ぶ際、契約内容をしっかりと確認することが非常に重要です。まず、どのように遺骨を埋葬するか、樹木や周辺環境の管理を誰が行うのかを明確に理解する必要があります。これには、埋葬方法だけでなく、樹木の手入れやその他の環境管理が含まれます。

さらに、費用の全体像を把握することも欠かせません。初期費用だけでなく、長期にわたる管理費やその他の必要経費も考慮に入れるべきです。特に、将来的に遺骨を移動させたい場合、改葬が可能かどうかを事前に確認しておくことは、後のトラブルを避けるためにも重要です。

また、継承者がいない場合の対策や、何らかのトラブルが発生した際の解決策についても、契約書に明記されているかをチェックすることが求められます。

遺族の合意を取っておく

樹木葬を選ぶ際には、遺族間での意見の一致が非常に重要です。樹木葬は、ただの埋葬方法ではなく、故人を自然に還すという美しい選択であり、家族全員が納得し、共感できる決断であるべきです。遺族間で意見が異なる場合、急いで決定をするのではなく、じっくりと時間をかけて全員が納得できる選択肢を見つけ出すことが大切です。

これには、樹木葬のメリットだけでなく、将来的な維持管理や費用の側面も含めて、詳細に話し合う必要があります。また、樹木葬に関する疑問や不安を解消するために、専門家からの意見を求めることも一つの方法です。家族全員が情報を共有し、理解を深めることで、故人にとって最も適切な方法を選ぶことができます。

ペットの埋葬条件を確認しておく

樹木葬を選ぶ際に、愛するペットと一緒に埋葬することを望む場合は、事前の確認が非常に重要です。全ての樹木葬施設がペットの納骨に対応しているわけではないため、希望する施設がペットとの共葬を受け入れているかを明らかにする必要があります。

樹木葬の形態は、合葬型、個別型、樹林型など多岐にわたりますが、ペットの納骨が許可されているのは一部のタイプだけです。そのため、どの樹木葬形態がペットの納骨に適しているかを施設に確認することが求められます。

また、ペットの種類やサイズ、納骨の方法に関する施設の規定も理解することが必要です。これらの規定は施設によって異なり、ペットを埋葬する際の具体的な条件や方法が定められています。追加で費用が発生する場合も多いため、事前に費用構成を確認し、経済的な負担を把握しておくことも大切です。

愛するペットと永遠に共に眠るための場所を選ぶには、これらの点をしっかりと確認し、納得のいく施設を選択することが重要です。

樹木葬は、自然と共にある美しい埋葬を提供しますが、その選択と実施には上述のような多くの注意点が伴います。これらをしっかりと理解し、慎重に進めることで、故人にとっても遺族にとっても納得のいく選択が可能になります

実態や注意点を押さえて選ぶことが大切

樹木葬は、自然に還ることを希望する多くの人々にとって魅力的な選択肢となっています。この埋葬方法は故人の遺骨を粉骨し、樹木の下に埋葬することにより、自然環境への負荷を減らすことが可能です。特に環境保護を重視する方々にとって、この方法は墓石や納骨堂を必要としないため、経済的でありながら地球に優しい選択と言えます。

樹木葬のメリットには、費用の節約だけでなく、アクセスしやすい設計が多いことも含まれます。多くの樹木葬施設は段差が少なく、車椅子や杖を使用する人でも参拝しやすい環境が整っています。また、宗教的な制約が少ないため、故人の意志に沿った形で、自由に供養の方法を選ぶことが可能です。

しかし、デメリットも存在します。樹木葬は特定の場所でのみ実施が許されるため、希望する場所が選べないことがあります。加えて、遺骨を粉骨して土に埋葬するこの方法では、一度埋葬すると遺骨を取り出すことが困難になるため、改葬や分骨を考えている場合には不向きかもしれません。また、個人での管理が必要な場合が多く、定期的な手入れが求められることから、時間と労力がかかることもデメリットの一つです。さらに、費用が明確でないこともあり、全体のコストを把握しにくいこともあります。

樹木葬を選択する際には、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、故人の意向や家族の願いに最も適した方法を選ぶことが重要です。樹木葬にもさまざまな種類がありますので、実際に見学に行き、プランや内容を聞いてみるのも良いと思います。

自然に還る美しい方法である樹木葬ですが、その選択は故人の尊厳と遺族の感情に寄り添ったものでなければなりません。ポイントや違いを理解した上で、最適な選択をすることをおすすめします。

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監修者

海庵

僧侶でもあり、何度でもお墓の引っ越しができる「納骨堂転葬サービス」の会社、株式会社徳禅庵代表の海庵誠二です。お墓や終活、遺産整理に関するお役立ち情報を発信しております。


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